インボイスの実務上の疑問点の整理
今回は、インボイス制度が開始し、実務の現場において疑問が生じた事例について書きたいと思います。
- インボイス制度が施行された後のタクシー代について
まず、仕入税額控除の原則のおさらいですが、経費については、インボイス(適格請求書)の取得・保存と帳簿書類の記載及び保存の要件を満たした場合に、適用が受けられます。
ただし、一部の経費についてインボイス(適格請求書)がなくても、帳簿書類の記載及び保存のみで仕入税額控除の適用を受けることが可能となっています。
その一部の経費に該当するタクシー代が該当します。大きくは2パターンに対応が分かれます。
- 従業員等に支給する出張旅費等(通常必要と認められる)に該当する場合
- タクシー事業者の方が、インボイス登録している場合、仕入れ税額控除は可能となります。
- タクシー事業者の方が、インボイス登録していない場合、仕入れ税額控除は可能となります。
- 上記⑴以外の場合(従業員立替金やクレジットカードでの支払い)
- タクシー事業者の方が、インボイス登録している場合、仕入れ税額控除は可能となります。
- タクシー事業者の方が、インボイス登録していない場合、仕入税額控除は原則できません。ただし、経過措置によりインボイス制度実施後6年間は仕入に係る消費税相当額のうち一定割合は控除することができます。その一定割合とは、開始後3年間は80%、その後3年間は50%となります。
⇒タクシー代の支払方法により、仕入税額控除の適用内容が変わるという状況となっています。
※出張時に法人のクレジットカードを使用し支払いをした場合には、上記1には該当しないこととなります。その理由は、⑴の場合は出張旅費を従業員に支給する事が要件となります。しかし、法人のクレジットカードの場合は、直接法人口座から支払いがされるため要件を満たさないこととなります。 - 従業員等に支給する出張旅費等(通常必要と認められる)に該当する場合
- 経過措置期間中に免税事業者から課税仕入れの経理処理について
インボイス制度の導入後は、原則として、インボイス事業者以外からの課税仕入れについては、税務上、仮払消費税等の額はないこととされます。
その為、税抜経理方式を採用している場合が論点となります。
経過措置期間中における免税事業者からの課税仕入れについては、インボイス制度導入前と同様に計算した仮払消費税等相当額に一定割合(80%又は50%)を乗じて算出した金額が仮払消費税等の額となり、残額はインボイス制度導入前と同様に計算した税抜金額に含めて法人税の所得金額の計算を行うことになります。 上記の取扱いにより、影響を受けるのは、減価償却資産の取得と交際費となります。
- 減価償却資産について
減価償却資産、10万円未満、30万円未満の少額減価償却資産、一括償却資産として認識される金額は、インボイス制度導入前と同様に計算した税抜金額に、経過措置により計算した仮払消費税等とならない金額(消費税相当額の20%又は50%)を含めた金額となります。 - 交際費について
事業年度終了の日における資本金の額が100億円以下の法人について、得意先・仕入先などの社外の方との飲食等のうち、一人当たりの金額が5,000円以下となる飲食費は、交際費等の損金不算入から除かれ通常の経費となります。 (専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)
その5,000円の判定の基準は上記⑴の減価償却資産と同様に、インボイス制度導入前と同様に計算した税抜金額に、経過措置により計算した仮払消費税等とならない金額(消費税相当額の20%又は50%)を含めた金額となります。
- 減価償却資産について
以上、インボイス制度の導入により、今までとは違った経理処理となるものについて書かせていただきました。
北原 Team
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