MENU

棚卸とは?意味や目的・具体的な方法をわかりやすく解説

棚卸

棚卸は、商品や仕掛品などの在庫を正確に把握するために行います。

しかし、棚卸の目的や棚卸の正しい方法が分からないまま、棚卸を行っている人も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では棚卸の意味や目的、また具体的な方法をわかりやすく解説していきます。

さらに、棚卸の注意点やポイント、棚卸を効率的に行う方法なども解説しますので、棚卸についてお悩みの人はぜひ最後までお読みください。

目次

棚卸とは

棚卸とは、期末に会社が保有している商品や仕掛品などの資産の数量を正確に把握し、期末における棚卸資産の残高を確定させるために行う作業です。

毎月棚卸を行う会社もありますが、少なくとも年に一回の期末時点での棚卸作業が必要になります。

なお、棚卸の対象品は販売前の商品や、製造途中に残っている原材料や仕掛品、また金券などの貯蔵品といった棚卸ができる資産です。

棚卸を行う目的

棚卸を行う主な目的として、下記の4つが挙げられます。

・正確な利益を確認するため
・しっかり在庫管理をするため
・在庫切れを防ぐため
・仕入れと販売の傾向を知るため

実際に棚卸を行う際は、目的を理解した上で作業を行いましょう。

それぞれ確認していきます。

正確な利益を確認するため

会社の財産である棚卸資産がどれくらいの数量なのかを把握することで、正しい損益計算ができるため、正確な利益を確認するためにも棚卸を行うことは大切です。

また、棚卸を行えば理論上の在庫と実際の在庫の差を確認でき、盗難などの不正による商品の消失や、製造過程における思わぬ損失も確認できます。

したがって、棚卸を行うことは損失を防ぎながら正確な利益を確認できる重要な作業といえるでしょう。

しっかり在庫管理をするため

棚卸を行うことで、売れずに残り、長期間滞留している不動在庫を発見できます。

不動在庫がどの商品か分かれば、生産の調整ができたり、別の商品を販売したりするなど事業の戦略を改善できます。

そのため、しっかり在庫管理をするために棚卸を行うことは大切といえるでしょう。

在庫切れを防ぐため

棚卸は会計上の棚卸資産の金額を確定させるために必要な作業ですが、同時に客先に商品を届けるために在庫切れを防ぐ目的もあります。

もし、売れ行きの良い商品が在庫切れをしてしまうと、販売機会の損失となり、あげられたはずの利益を逃してしまうことでしょう。

商品の在庫切れを防ぐためにも棚卸を行い、商品の在庫数を正確に把握することが大切です。

仕入れと販売の傾向を知るため

棚卸を行い、商品の在庫数の推移を見ていくと、仕入れと販売の傾向が分かります。

在庫数が多ければ仕入れが多く、販売が少ないことが分かるため、その商品の生産もしくは仕入れを減らし、販売施策の実施などを行えます。

反対に、在庫数が少なければ仕入れが少なく、販売が多いと分かるため、その商品の生産もしくは仕入れを増やす調整を行えることでしょう。

したがって、棚卸を行うことで仕入れと販売の傾向を知り、利益を上げるために事業活動の改善を行えることになります。

棚卸を行う時期や頻度

棚卸は少なくとも年一回、期末に行う必要があります。

理由は、期末決算で棚卸資産の確定した金額を計上しなければならないためです。

なお、棚卸の回数に上限はないため、月に一回・四半期に一回・半年に一回などの頻度で棚卸を行っても構いません。

もし、在庫や品質の管理を正確かつ継続的に行っていきたいと考えているのであれば、半年に一回以上の頻度で棚卸を行ってもよいでしょう。

ただし、棚卸は通常の業務をとめたり、倉庫がいくつもあれば多くの人員が必要になったりと手間がかかる作業です。

自社の人員や在庫の倉庫数などの状況から、行うべき棚卸の回数を決めるようにしてください。

棚卸の具体的な方法や手順

ここまで棚卸の意味や目的などを解説しましたが、ここでは実際の棚卸の具体的な方法や手順を解説していきます。

棚卸の具体的な方法は、下記の2つです。

・実地棚卸
・帳簿棚卸

それぞれ解説していきますので、確認していきましょう。

実地棚卸

実地棚卸とは、目視をしながら在庫の数量を数える方法です。

商品や仕掛品などの在庫を目視しながら数えるため、正確に数量を数えられるのがメリットです。

さらに、在庫の数量だけでなく品質についても確認できることもメリットに挙げられます。

しかし、実地棚卸は実際に人が在庫を数える作業のため、在庫が多い場合は多くの手間が手間がかかることがデメリットです。

人が棚卸を行うため、棚卸漏れや重複などの人為的ミスが起こる可能性があるかもしれません。

そのため、人為的ミスをなくすために、複数回の確認を行うWチェック(ダブルチェック)を行うといったミスへの対策も行いながら、棚卸を進めていくとよいでしょう。

なお、実地棚卸ではタグ方式とリスト方式があるため、次で解説します。

タグ方式での棚卸

タグ方式は、棚札と呼ばれるタグを準備して、棚卸を行う方法です。

まず、棚卸担当者が商品や仕掛品などの名前・数量を確認してタグに記載します。

その後、名前・数量などの情報が書かれたタグを商品や仕掛品に貼り付けて、在庫の数量を確認しましょう。

そして、全ての在庫にタグが貼り付けられていることと数量が正しいことを確認し、タグを回収した後、回収したタグを集計することで棚卸残高を把握します。

メリットは、実際に商品ごとに在庫を数えてタグに記載していく作業を行うため、正確に在庫数を把握できることです。

一方デメリットは、全商品にタグを貼り付ける作業となるため、手間がかかることが挙げられます。

リスト方式での棚卸

リスト方式は、在庫管理表などのリストをもとに在庫を目視で数えていき、リストに記載のある数量と照合することで棚卸を行う方法です。

あらかじめ準備したリストをもとに棚卸を進めるため、タグ方式と比べると棚卸にかかる手間を減らせることがメリットといえます。

一方で、リストに書かれた内容が間違っていたり、リスト上でカウント漏れがあったりする恐れがあることがデメリットです。

リストをもとに棚卸が可能なため効率的に進められますが、リストと在庫に差があった場合、差の確認に時間がかかってしまうことが想定されます。

そのため、リストと在庫に差があった場合は、どのように対処するかなどを事前に考えておくとよいでしょう。

帳簿棚卸

帳簿棚卸とは、システムから出力された在庫管理表などの数値を確認して、棚卸残高とする方法です。

帳簿棚卸は理論上での数値のため、棚卸にかかる時間と手間を減らせるメリットはありますが、正確な棚卸残高の把握が難しいことがデメリットです。

したがって、一般的には帳簿棚卸と実地棚卸をあわせて行い、期末に正確な棚卸残高を計上することになります。

棚卸在庫の評価方法

棚卸の具体的な方法は前の章で解説しましたが、会計上における棚卸在庫の評価方法は、どのようなものがあるのでしょうか?

棚卸在庫の評価方法として下記の2つの方法が挙げられますので、それぞれ解説していきます。

・原価法
・低価法

原価法での評価方法

原価法とは、在庫を取得したときの原価を棚卸資産の金額として評価する方法のことです。

在庫の取得金額を算出する際には、下記の6つの計算方法があります。

・個別法
・先入先出法
・総平均法
・移動平均法
・最終仕入原価法
・売価還元法

例えば、先入先出法は先に仕入れたものが先に販売されたと考えて、在庫を評価する方法です。

なお、どの方法で評価するかについては税務署に届け出を出し、承認を受ける必要があることに注意が必要です。

低価法での評価方法

低価法とは、原価法により評価された金額と期末時点の時価で、金額の低い方を採用する方法です。

低価法で評価することで、市場の変化にもとづいた適切な金額で棚卸資産を評価できることがメリットです。

市場の変化を取り入れた金額は信頼性が上がると考えられるため、投資家などからの信頼を集められるでしょう。

棚卸の際によく起きる失敗

棚卸は人が行うことのため、失敗してしまうことがあります。

そこで、棚卸の際によく起きる失敗の例を下記に挙げました。

棚卸の際に下記のような失敗をしないように、確認しておいてください。

スクロールできます
棚卸での失敗内容
棚札への記入ミス商品の名前、番号や場所の記入ミス
カウントの重複、漏れ数量が多い商品在庫のカウントの重複や、在庫の見落としによるカウント漏れ
入力漏れ棚札を回収し、集計している際に起こる数量の入力漏れ
数字の読み間違い手書きのため1と7、6と8などの数字の区別が付きづらいことで起きる、読み間違い

棚卸の注意点やポイント

前の章で解説した、棚卸の際によく起きる失敗以外にも注意点やポイントがあります。

ここでは下記の3つのポイントについて解説しますので、確認していきましょう。

・棚卸表は最低7年間は保管する
・在庫数だけでなく品質もチェックする
・ミスをなくすためにWチェックをする

棚卸表は最低7年間は保管する

棚卸の際に使用した棚卸表は、国税庁により最低7年間の保存が必要と定められています。

棚卸が終わったからといって、誤って廃棄しないように注意をしてください。

ただし、平成30年4月1日以降で欠損金が生じた事業年度については、棚卸表を7年間ではなく、10年間保存する点にも注意が必要です。

在庫数だけでなく品質もチェックする

棚卸を行うことで正しい在庫数量を確認できますが、同時に品質もチェックしましょう。

将来販売できると考えていた在庫でも、長期間保管していると傷んだり、破損したりして状態が悪くなり、販売できない状況になっているかもしれません。

棚卸をして品質異常の在庫を発見した場合は、商品管理の担当者に報告をし、適切な会計処理を行いましょう。

ミスをなくすためにWチェックをする

棚卸は人が行う部分が多いため、人為的ミスが起きないように仕組化することが大切です。

そこで、棚卸でミスをなくすためにW(ダブル)チェックをするようにしてください。

具体的には棚札への記入ミスや、棚札回収後での集計ミスなどが考えられるため、棚卸に関わる作業については、可能な限りW(ダブル)チェックをしながら進めていくとよいでしょう。

棚卸を効率的に行う方法

棚卸は、数多くの在庫を数えて集計する作業のため、効率的に行う必要があります。

ここでは、棚卸を効率的に行う方法として下記の5つを解説していきます。

・事前に計画と準備をして行う
・自社に一番適した方法で行う
・棚卸表を使って行う
・在庫管理のシステムを使う
・日々の検品・作業後の見直しをしっかり行う

棚卸の際の参考にしてください。

事前に計画と準備をして行う

棚卸を多くの人と順序良く進めるためには、事前に計画と準備をして行うことが大切です。

実地棚卸に向けて日程を組み、範囲ごとの棚卸責任者を決めるなどの準備を行いましょう。

また、実地棚卸の進め方のマニュアル作成や事前説明会、実地棚卸当日の説明会開催など、棚卸に関わる人が問題なく棚卸を進められるように対策を実施し、効率的に進められるようにしていきましょう。

自社に一番適した方法で行う

会社ごとに扱う商品や在庫数量、従業員数が異なるため、自社に一番適した方法で棚卸を行いましょう。

すでに解説したように、実地棚卸の中でもタグ方式とリスト方式があるなど、進め方が異なります。

自社の状況と棚卸対象品を考慮して、棚卸を進めていくとよいでしょう。

棚卸表を使って行う

エクセルなどの表計算ソフトや、システムから出力した棚卸表を使って棚卸を行うと、効率的に進められます。

もし各自で手書きで棚卸を行った場合、在庫の集計のときに相当な時間がかかってしまうことが想定されます。

あらかじめ準備した棚卸表を使って、効率的に棚卸を進めていきましょう。

在庫管理のシステムを使う

棚卸の効率化のために、発注・仕入・出荷などを管理できる在庫管理システムや、バーコードをスキャンをすることで在庫が分かるアプリなどを使うのも効果的です。

ただし、システムの導入にはコストがかかり、システムを使いこなすための教育も必要になります。

もし棚卸が大変でシステム化を考えている人は、自社で改善が必要な機能を持つシステムの部分的な導入を考えるなど、改善点を明らかにしながら、少しずつシステム化を進めていくとよいでしょう。

日々の検品・作業後の見直しをしっかり行う

帳簿棚卸を行っている場合、帳簿と現物が一致している必要があるため、帳簿と現物の不一致が起きないようにするためにも日々の検品作業が大切です。

また棚卸作業後に、棚卸を行った際の問題点や改善点などの見直しをしっかり行いましょう。

問題点や改善点をはっきりとさせ、次の棚卸までに問題を解消することで、棚卸を効率的に行えます。

まとめ

本記事では、棚卸について詳しく解説しました。

棚卸とは、期末に会社が保有している商品や仕掛品などの資産の数量を正確に把握し、期末における棚卸資産の残高を確定させるために行う作業です。

棚卸は期末決算で棚卸資産の確定した金額を計上するために、少なくとも年一回、期末に行う必要があります。

棚卸を行う主な目的は、下記の4つです。

・正確な利益を確認するため
・しっかり在庫管理をするため
・在庫切れを防ぐため
・仕入れと販売の傾向を知るため

棚卸の目的を理解して、棚卸作業を進めるとよいでしょう。

また、棚卸には実地棚卸と帳簿棚卸の2つの方法があり、実地棚卸にはタグ方式とリスト方式の2種類あることも覚えておきましょう。

棚卸を効率的に行う方法は下記の5つです。

・事前に計画と準備をして行う
・自社に一番適した方法で行う
・棚卸表を使って行う
・在庫管理のシステムを使う
・日々の検品・作業後の見直しをしっかり行う

棚卸は手間がかかる作業のため、棚卸の際に上記に挙げた内容を実施することで、効率的に棚卸を進めていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次