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貸借対照表の書き方・作り方を解説!簡単な作成方法や例、注意点を紹介

貸借対照表 作り方 書き方

企業の決算発表などでよく目にする貸借対照表。

決算において重要な決算書類の一つです。

しかし、実際に貸借対照表を作成するとなると、どのように作ればいいのかわからない人が多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では貸借対照表の書き方・作り方を解説していきます。

さらに、簡単に作るための方法や注意点なども解説しますので、貸借対照表の作成で悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。

目次

貸借対照表とは

貸借対照表を作成するためには、貸借対照表について詳しく知る必要があります。

そこで、ここでは貸借対照表の理解を深めるために、下記の4つについて解説していきます。

●   貸借対照表とは?財政状況を表す書類
   貸借対照表を作成する目的
●   貸借対照表には2つの形式がある
●   貸借対照表と損益計算書の違い

貸借対照表を作成するために、理解を深めていきましょう。

貸借対照表とは?財政状況を表す書類

貸借対照表とは、ある時点の財政状況を表す決算書類です。

英語で「Balance Sheet」と呼ばれるため、頭文字を取り「B/S(ビーエス)」とも呼ばれています。

重要性の高さから、損益計算書・キャッシュフロー計算書と共に「財務三表」といわれているのも特徴の一つです。

通常は四半期や半期などの各決算期末時点で作成されますが、月次で貸借対照表を作成している企業もあります。

また、貸借対照表は下記の3つの項目で構成されています。

●   資産:企業が所有する財産(現金、預金、売掛金など)
   負債:企業が将来支払う義務のあるマイナスの財産(借入金、買掛金など)
●   純資産:企業が返済する義務のない資産(資本金、利益剰余金など)

貸借対照表を作成するうえで必要な知識のため、勘定科目の例と共に覚えておきましょう。

貸借対照表を作成する目的

貸借対照表を作成する目的は、主に下記の2つです。

●   開示義務があるため
●   経営状態を把握するため

開示義務があるため

法人の場合、株主や金融機関、また税務署に経営状況を報告する必要があるため、貸借対照表を開示する義務があります。

個人事業主でも、65万円の青色申告特別控除を受ける場合は、貸借対照表を税務署に提出する必要があるため、貸借対照表は非常に重要な決算書類といえます。

経営状態を把握するため

貸借対照表を作成すれば、決算時点の財政状況、つまり経営状態がわかります。

資産を見れば資金をどのように使ったのか、負債と資本を見ればどのように資金を調達したのかがわかるため、その時点の経営状況の把握が可能です。

また、経営状態を把握するだけでなく、過年度の貸借対照表と分析をし、経営状態の改善ポイントを明らかにするためにも貸借対照表の作成が必要になります。

貸借対照表には2つの形式がある

貸借対照表には、勘定式と報告式の2つの形式があります。

勘定式

勘定式は、借方と貸方を基に左右に記載する形式です。

左側(借方)に資産、右側(貸方)に負債と純資産を記載し、左右それぞれの合計金額が同じになります。

勘定式は仕訳の考え方で並べられているため、わかりやすいのが特徴です。

報告式

一方、報告式は、上から下へ順番に記載する形式です。

上から資産、負債、純資産の順番で並べられ、有価証券報告書や決算短信などでよく目にする形式となっています。

上から下へ記載される損益計算書と同じような形式とイメージすると、わかりやすいでしょう。

それぞれ見る機会のある形式のため、勘定式と報告式の2つの形式を覚えておきましょう。

貸借対照表と損益計算書の違い

ここまで貸借対照表について解説しましたが、貸借対照表と損益計算書では、どのような違いがあるのでしょうか?

主な違いは下記の表の通りです。

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作成の目的項目
貸借対照表ある「時点」の財政状況を把握するため資産・負債・純資産
損益計算書ある「期間」で上げた利益を把握するため収益・費用

1つ目の違いが、作成の目的です。

貸借対照表は、ある「時点」の財政状況を把握するために作成されるのに対し、損益計算書はある「期間」で上げた利益を把握するために作成されます。

貸借対照表は「時点」で見たもの、損益計算書は「期間」で見たものと覚えるとよいでしょう。

2つ目の違いが、項目です。

貸借対照表は、資産・負債・純資産損益計算書は、収益と費用の項目があります。

それぞれの項目は、貸借対照表であれば財政状況をあらわすために必要で、損益計算書であれば利益の計算をするために必要なものです。

貸借対照表と損益計算書の違いを理解しづらい人は、まずは作成の目的と項目が大きく違うことを覚えておくとよいでしょう。

貸借対照表の見方と作成時のルール

前の章では、貸借対照表の定義や目的などを解説しました。

ここでは、貸借対照表の見方と作成時のルールを解説していきます。

●   資産の部~貸借対照表の左~
●   負債の部~貸借対照表の右上~
●   純資産の部~貸借対照表の右下~
●   左右の金額は必ず同額になる

貸借対照表を作成するときに重要な内容のため、ぜひ参考にしてください。

資産の部~貸借対照表の左~

まず、貸借対照表の左側に「資産」の部があります。

資産は、企業が所有している財産を表し、調達した資金をどのように使っているかを表しています。

また、資産の区分は、流動資産、固定資産、繰延資産の3つです。

それぞれの勘定科目の例は下記の通りなので、確認しておきましょう。

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項目勘定科目の例
流動資産現金、預金、売掛金、商品、仕掛品、未収入金など
固定資産土地、建物、機械装置、ソフトウェア、関連会社株式など
繰延資産創立費、開業費、社債発行費など

負債の部~貸借対照表の右上~

次に、貸借対照表の右上にある「負債」の部を見ていきましょう。

負債は、株主以外の外部から調達したお金で、将来返済する義務のある資金を指します。

例えば、金融機関からの借入金をイメージするとわかりやすいでしょう。

また、負債は流動負債と固定負債の2つに分けられます。

流動負債と固定負債の勘定科目の例は、下記の通りです。

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項目勘定科目の例
流動負債支払手形、買掛金、短期借入金、未払金、預り金など
固定負債社債、長期借入金、退職給付引当金など


純資産の部~貸借対照表の右下~

最後に、貸借対照表の右下にある「純資産」の部を確認しましょう。

純資産は資産から負債を引いたもので、企業が返済する義務のない資産のことです。

例えば、資本金や利益剰余金などが純資産にあたります。

また、純資産は、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権の3つに分けられます。

それぞれの勘定科目の例は、下記の通りです。

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項目勘定科目の例
株主資本資本金、資本準備金、繰越利益剰余金など
評価・換算差額等その他有価証券評価差額金、繰越ヘッジ損益など
新株予約権新株予約権

左右の金額は必ず同額になる

貸借対照表を作成する際に、左右の金額は必ず同額になるルールがあります。

なぜなら、貸借対照表を作る基になっている仕訳の時点で、左右つまり借方と貸方の金額が同額になっているからです。

したがって、貸借対照表は左右で同額になるため、(左)資産=(右)負債+純資産の計算式が常に成り立つことを覚えておきましょう。

貸借対照表の作り方・書き方~仕訳から作成まで~

それでは、実際に貸借対照表の作り方・書き方を解説していきます。

書き方の順番は、下記の4段階になります。

●   複式簿記で日々の取引を記帳
●   総勘定元帳へ勘定科目ごとに転記する
●   抽出した残高を試算表に転記する●   試算表に対して決算整理仕訳を行う

国税庁のホームページにある「青色申告者のための貸借対照表作成の手引き」の内容に沿って解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

出典:令和4年分 青色申告者のための貸借対照表作成の手引き

複式簿記で日々の取引を記帳

貸借対照表を作成するには、複式簿記で日々の取引を仕訳帳に記帳する必要があります。

複式簿記とは、1つの取引を2つの側面から考えて記録する方法で、借方と貸方を用いて仕訳をし、仕訳帳に記帳していきます。

例えば、業務のために現金で100円のボールペンを購入した場合を考えてみましょう。

上記の場合、100円の現金が減り、ボールペン代の消耗品費がかかったことになります。

したがって、上記のケースの場合、下記の仕訳をします。

仕訳は貸借対照表だけでなく、損益計算書の基にもなるため、日々の取引を過不足なく仕訳帳に記帳していきましょう。

借方貸方
消耗品費100円現金100円

総勘定元帳へ勘定科目ごとに転記する

次に、仕訳帳の内容を「総勘定元帳」へ転記します。

総勘定元帳は、勘定科目ごとに記録する帳簿のため、現金や消耗品費などの勘定科目ごとに記録していきましょう。

抽出した残高を試算表に転記する

続いて、総勘定元帳から抽出した残高を、勘定科目ごとに試算表へ転記します。

総勘定元帳へ転記した時点で整理されていれば難しくない作業のため、間違いのないように転記していきましょう。

試算表に対して決算整理仕訳を行う

最後に、作成した試算表に対して決算整理仕訳を行えば、貸借対照表の完成です。

決算整理仕訳の主な例は下記の通りなので、確認しておいてください。

   売上の期ずれ確認
●   棚卸資産の帳簿ずれ分修正
●   固定資産の減価償却
●   有価証券の評価替
●   消費税区分の確認

貸借対照表を作成するための3つの方法やツール

貸借対照表を作成する際に、全て手作業で行うと時間と手間がかかり、ミスもしやすくなってしまいます。

そこで、貸借対照表を作成するための3つの方法やツールを解説していきます。

●   Excelのテンプレートを使う
●   会計ソフトを使う
●   経理アウトソーシングに任せる

一つずつ解説しますので、貸借対照表をどの手段で作成すればよいか悩んでいる人は、ぜひお読みください。

Excelのテンプレートを使う

1つ目は、Excelのテンプレートを使うことです。

Excelのテンプレートを使うメリットは、手作業よりも入力が楽になり、効率的に作業を進められることです。

また、一度テンプレートを作ってしまえば、あとは入力するだけのため、管理が楽なこともメリットといえるでしょう。

一方、デメリットは、パソコンの扱いが苦手な人には作業がしにくいことです。

Excelでテンプレートを作るためには計算式などを組む必要があるため、パソコンの操作が苦手な人は、効率的に作業を進められない恐れがあることに注意が必要です。

会計ソフトを使う

2つ目は、会計ソフトを使うことです。

会計ソフトを使うメリットは、入力箇所が決まっているため、簡単に仕訳ができることです。

また、一度仕訳を登録してしまえば自動で集計をしてくれるため、間違いが起きづらいこともメリットといえます。

デメリットは、運用コストがかかることです。

手書きやExcelで作成すればお金がかからないため、運用コストがかかってしまうのはデメリットの一つといえるでしょう。

ただし、入力が楽で間違えずに集計できるなどのメリットがあるため、コスト以上に効果を感じる場合は、会計ソフトを使うのも一つの手でしょう。

経理アウトソーシングに任せる

3つ目は、経理アウトソーシングに任せることです。

メリットは、経理を専門とするアウトソーシングに任せるため、正しい貸借対照表を作成してくれることです。

自分で貸借対照表を作成するのが難しい場合は、経理アウトソーシングに任せるのも良いでしょう。

一方、デメリットはコストがかかることです。

自分で作成すればコストはかからないため、コストに見合うかどうかを慎重に考慮してから、経理アウトソーシングに任せるかどうかを決めた方が良いでしょう。

貸借対照表の作り方・書き方の注意点

ここまで貸借対照表の作り方・書き方を解説してきましたが、ここでは試算表から貸借対照表を書くときの注意点についてお伝えします。

注意点は下記の5つです。

●   総勘定元帳の「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」と記載する。
●   総勘定元帳の「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記載する。
●   貸倒引当金は、売掛金などから控除した形で記載する。
●   減価償却累計額は、固定資産から控除した形で記載する。
   繰越利益剰余金は、当期純利益または当期純損失を加える。

上記の通り、総勘定元帳と貸借対照表で勘定科目名が異なるものや、貸借対照表を書くときに調整が必要なものがあります。

貸借対照表を作る際は、上記5つの注意点を意識してみてください。

まとめ

この記事では、貸借対照表の書き方・作り方や、簡単に作成するための方法やツールなどを解説しました。

貸借対照表は、ある時点の財政状況を表す決算書類で、下記2つの目的により作成する決算書類です。

   開示義務があるため
●   経営状態を把握するため

また、貸借対照表の書き方は下記の4段階で順番に進めていくので、覚えておきましょう。

●   複式簿記で日々の取引を記帳
   総勘定元帳へ勘定科目ごとに転記する
●   抽出した残高を試算表に転記する
●   試算表に対して決算整理仕訳を行う

さらに、貸借対照表を簡単に作成するための3つの方法やツールは、下記の通りです。

   Excelのテンプレートを使う
●   会計ソフトを使う
   経理アウトソーシングに任せる

貸借対照表を全て手作業で行うと間違いが起きやすく、手間と時間がかかってしまいます。

正しく効率的に貸借対照表を作成するために、上記の3つの方法を検討してみてもよいでしょう。

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