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借入金とは?勘定科目の仕訳方法や特徴をわかりやすく解説

借入金

会社経営を行う際に運転資金や事業拡大のために、金融機関などから借り入れを行うこともあるでしょう。

しかし、借入金について具体的に詳しく知らなかったり、どういう会計処理を行えば良いかわからない人もいることでしょう。

また、借入金は借金のため、メリットが分からずに借り入れを行わないようにしている人もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では借入金の基礎知識や特徴、種類などを解説していきます。

さらに、借入金の仕訳例やメリット・デメリットなども解説していますので、借入金について詳しく知らずにお悩みの人は、ぜひ最後までお読みください。

目次

借入金とは?勘定科目や特徴

まずは、借入金の基礎知識や特徴などを解説していきます。

解説するのは下記の4つです。

・借入金とは
・貸借対照表の負債の部に計上される
・借入金と資本金の違い
・長期借入金と短期借入金の違い

一つずつ確認し、借入金についての理解を深めていきましょう。

借入金とは

借入金とは、他者から借りたお金、つまり借金のことです。

借り入れをするのは金融機関や取引先、もしくは個人などがありますが、どこから借りても借入金になります。

また、借り入れを行うと手数料として利息が発生し、利息と元本を合わせた金額を期日までに返済する義務が生じます。

貸借対照表の負債の部に計上される

借入金は、貸借対照表の右側にある負債の部に計上されます。

例えば、金融機関から1,000万円の借り入れをして、普通預金に入金されたケースを考えてみましょう。

金融機関からの借入金の1,000万円は貸借対照表の負債の部に計上され、入金された普通預金の1,000万円は資産に該当するため、貸借対照表の左側にある資産に計上されます。

借入金と資本金の違い

借入金と資本金の違いは、借入金は返済義務があるお金であるのに対し、資本金は返済する必要がないお金である点です。

借入金は、借り入れを行った金融機関などに、利息とともに返済をしなければなりません。

一方資本金は、株主や経営者が出資したお金の合計で、返済する必要がないという特徴を持ち、利益があがった場合は株主へ配当金が支払われます。

借入金と資本金を考える際は、返済する義務があるかどうかという視点で考えてみるとよいでしょう。

長期借入金と短期借入金の違い

長期借入金と短期借入金の違いは、返済までの期間の長さです。

長期借入金は、返済までの期間が1年以上になる借入金で、貸借対照表では負債の部にある固定負債に該当します。

また、長期借入金は、主に長期の運転資金や設備投資などに活用される特徴を持っています。

一方、短期借入金は返済までの期間が1年以内になる借入金です。

短期借入金は、貸借対照表では負債の部の流動負債に該当し、主に運転資金として活用されます。

借入金の4つの種類

金融機関からの借入金は、下記の4つの種類があります。

・証書貸付
・手形貸付
・手形割引
・当座借越

それぞれどのような借入金なのかを確認していきましょう。

証書貸付

証書貸付とは、お金を借りる側が金融機関などの融資をする側と金銭貸借契約(金消契約)を結んだ上で、金銭消費貸借契約証書を差し入れて行う借り入れのことです。

金銭消費貸借契約証書には、貸付金額・返済期日・利率、返済方法などの記載があり、お金を借りる側は、記載された内容に沿って返済を行っていきます。

なお、通常借入金という場合、一般的には証書貸付のことを指していることが多いことを覚えておくとよいでしょう。

手形貸付

手形貸付は、金融機関へ約束手形を振り出して、手形に記載されている金額の融資を受ける方法です

また、手形貸付は短期間の融資を受ける際に利用されます。

手形割引

手形割引は、自社が振り出した手形でなく、他社が振り出した手形を金融機関などに買い取ってもらい、融資を受ける方法です。

手形割引は、他社の振り出した手形の支払い期日前に、お金が必要なときに利用されます。

ただし、期日到来前の手形を現金化するため、割引料が引かれた金額を受け取ることになります。

当座借越

当座借越は、あらかじめ決めてある融資限度額までの条件で、自由に融資を受けたり、返済できたりする借入金のことです。

使い勝手の良い借入金の種類といえますが、使い勝手が良い分、金融機関が行う当座借越の設定の審査が厳しいことには注意が必要です。

借入金を利用するメリット

ここまで借入金の意味や種類などを解説しましたが、借入金を利用するメリットは何があるのでしょうか?

借入金を利用する主なメリットは、下記の4つです。

・事業資金にゆとりや余裕が生まれる
・将来への事業投資ができる
・社会的信用度が上がり金融機関から信頼される
・経費計上でき節税できる

それぞれ確認していきましょう。

事業資金にゆとりや余裕が生まれる

会社を経営していると急に資金が必要になったり、取引先の倒産などで予定していた資金が入ってこなかったりと、さまざまなケースが起こることでしょう。

借り入れを行うことで事業資金にゆとりや余裕が生まれれば、スムーズに事業を行えます。

事業資金に余裕がないと、倒産という最悪のケースも考えられるため、運転資金として借入金を活用することで安定した経営が行えます。

将来への事業投資ができる

新商品の開発、生産拠点の建設や増設など、将来を見据えて設備投資などの事業投資を行うには、多額の資金が必要になります。

しかし、もし手元に資金がないからと事業投資を見送ってしまっては、事業を進めて利益をあげる機会を逃してしまうことになるでしょう。

そこで、借入金を活用することで資金を融資してもらえば、将来への事業投資ができることになります。

社会的信用度が上がり金融機関から信頼される

借り入れを行うには、金融機関の厳しい審査を受けて承認を得る必要があります。

したがって、借り入れを行えるということは、金融機関の審査を通過したことになるため、社会的信用度が上がります。

また、金融機関から借り入れをし、確実に返済をしていけば金融機関から信頼され、事業投資などで多額の借り入れが必要になった場合、審査が円滑に進む可能性が高くなるでしょう。

経費計上でき節税できる

借入金の利息を経費計上し、損金に算入することで利益を抑えられるため、節税できます。

したがって利率が高いと、より節税効果を受けられることになるでしょう。

借入金を利用するデメリット

借入金のデメリットは、必ず返済を行う必要があることです。

多額の借り入れをした場合は、毎月の返済額も大きくなり、資金繰りに大きな影響を与えます。

もし、返済金額が大きくなって運転資金が不足してしまい、取引先に支払いができないケースになってしまうと、倒産のリスクが高まります。

また、金融機関への返済が滞ると信用を失い、借り入れができなくなってしまうでしょう。

したがって、自社の資金繰りの状況を把握し、慎重に融資を受けるようにしてください。

借入金の勘定科目の仕訳例

ここでは、借入金の勘定科目を使った仕訳例を、ケースごとに解説していきます。

仕訳例を解説するのは、下記の4つのケースです。

・借入金が入金されたときの仕訳
・利息を支払ったときの仕訳
・借入金を返済したときの仕訳
・決算時の仕訳

ケースごとに正しい仕訳をするために、一つずつ確認していきましょう。

借入金が入金されたときの仕訳

銀行から3,000万円の借り入れを行い、普通預金に入金されたケースは下記の仕訳になります。

なお、3,000万円の借り入れのうち、返済期日が1年以内の短期借入金が1,000万円、残りを長期借入金とします。

スクロールできます
借方貸方
普通預金30,000,000円短期借入金10,000,000円
長期借入金20,000,000円

短期借入金・長期借入金は負債のため貸方に計上、普通預金は資産のため借方に計上してください。

利息を支払ったときの仕訳

借入金に対する利息のみ2万円を支払った際の仕訳は、下記の通りです。

借方貸方
支払利息20,000円普通預金20,000円

利息の支払いのときは、営業外費用の勘定科目である支払利息を使用します。

借入金を返済したときの仕訳

短期借入金の元本200万円と、利息2万円の合計202万円を普通預金から返済したケースでは、下記の仕訳になります。

スクロールできます
借方貸方
短期借入金2,000,000円普通預金2,020,000円
支払利息20,000円

負債の短期借入金は減少したため借方に計上し、利息分の支払利息も借方に計上します。

決算時の仕訳

長期借入金と短期借入金を分けて計上している場合は、来年度に返済する予定の借入金を、長期借入金から短期借入金へ振り替える仕訳をします。

決算時に、長期借入金のうち来年返済する300万円を短期借入金に振り替える仕訳は、下記の通りです。

スクロールできます
借方貸方
長期借入金3,000,000円短期借入金3,000,000円

負債の長期借入金が減る代わりに短期借入金が増えるため、上にあげた仕訳になります。

また、期中では借入金の金額を管理するために、借入金の返済計画表といった帳簿と借入金の残高が一致することを確認してください。

期末決算時には、金融機関ごとに借入金の残高証明書を取得し、帳簿上の借入金の残高と一致していることを確認しましょう。

借り入れをする方法

借り入れをするには、複数の方法があります。

そこで、ここでは下記の5つの方法について解説していきます。

・銀行の融資
・日本政策金融公庫の融資
・地方自治体の融資
・銀行のビジネスローン
・信販会社や消費者金融のビジネスローン

自社に適した借り入れ方法を選択できるようにするため、参考にしてください。

銀行の融資

銀行では預金業務のほかに、融資業務も行っています。

メガバンクと呼ばれる大手の銀行の融資先は、大企業が中心です。

中小企業が融資を受けるには地方銀行、もしくは銀行以外の金融機関である、信用金庫・信用組合などになるでしょう。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、地域経済を支える中小企業などの成長・発展を支援しています。

個人企業や小規模企業が融資対象の国民生活事業、中小企業が融資対象の中小企業事業などを行っており、各企業のニーズに応えた貸付を行っています。

なお、日本政策金融公庫は、国が100%の株式を保有している株式会社です。

地方自治体の融資

地方自治体でも中小企業向けの融資を行っており、低金利で比較的長い期間の貸付を行っています。

例えば、東京都港区には港区中小企業融資制度という、事業資金の融資を低金利で受けられるように、利用している金融機関に融資のあっせんをする制度があります。

一方で、東京都の組織である東京都産業労働局には、東京都中小企業制度融資があるため、都道府県と市区町村の両方の融資制度を確認してみるとよいでしょう。

銀行のビジネスローン

融資ではなく、銀行のビジネスローンでも借り入れを行えます。

ビジネスローンは、審査のスピードが比較的早いだけでなく、原則担保と保証人が不要というメリットがあります。

しかし、一方で銀行の融資と比べると、金利が高いデメリットがあるため注意が必要です。

信販会社や消費者金融のビジネスローン

融資を受ける場合、信販会社や消費者金融のビジネスローンの選択肢もあります。

信販会社や消費者金融のビジネスローンは、銀行のビジネスローンと似た特徴を持っています。

銀行のビジネスローンより金利は高めですが、即日で融資を受けられる可能性があります。

まとめ

本記事では、借入金について詳しく解説しました。

借入金とは、他者から借りたお金のことで、借り入れをするのは金融機関や取引先、もしくは個人などが考えられますが、どこから借りても借入金になります。

借り入れを行うと手数料として利息が発生し、利子と元本を合わせた金額を返済する義務があります。

借入金を理解するために、借入金と資本金の違い、長期借入金と短期借入金の違いを理解しておきましょう。

金融機関からの借入金には、下記の4つの種類があるため確認しておいてください。

・証書貸付
・手形貸付
・手形割引
・当座借越

また、借入金を利用する主なメリットは、下記の4つです。

・事業資金にゆとりや余裕が生まれる
・将来への事業投資ができる
・社会的信用度が上がり金融機関から信頼される
・経費計上でき節税できる

一方で、借入金のデメリットは必ず返済を行う必要があることです。

多額の借り入れをした場合は、毎月の返済額も大きくなり、資金繰りに大きな影響を与えます。

そのため、自社の資金繰りの状況を把握し、慎重に融資を受けるようにしましょう。

さらに、下記の4つのケースの仕訳を解説しました。

・借入金が入金されたときの仕訳
・利息を支払ったときの仕訳
・借入金を返済したときの仕訳
・決算時の仕訳

借り入れを行った場合は、各ケースでの仕訳を確認して、適切な会計処理を行っていきましょう。

最後に借り入れをする方法として下記の5つを解説しました。

・銀行の融資
・日本政策金融公庫の融資
・地方自治体の融資
・銀行のビジネスローン
・信販会社や消費者金融のビジネスローン

自社に適した借り入れ方法を選択し、借り入れを行うとよいでしょう。

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