出産にまつわる税金
今回は、私が出産に関係する社会保険や補助金を調べる機会があったため、それに関連して出産にまつわる税金をいくつか紹介していきます。
本ブログは税金に着目して紹介する観点から、社会保険や補助金の申請などに関しては割愛しています。そのため税金の説明にあたって、適切に受給要件は満たし適正に申請していることを前提にしています。
まずは、夫婦ともに会社員である場合の所得税に着目してみます。
説明の便宜上、配偶者控除及び配偶者特別控除は、本ブログでは「配偶者控除等」と省略します。
参考までに以下は給与所得のみの会社員の方の所得税計算の簡単なイメージ図です。
合計所得金額を構成
例:基礎控除
配偶者控除等
医療費控除
生命保険料控除など
例:住宅借入金等特別控除
最初に、出産する妻からです。
出産に関する代表的な助成金は、以下のようなものがあります。
・出産一時金
一人を出産した場合には、一定の条件の下では一時金として50万円が受け取れます。
・出産手当金
出産日から起算し産前42日、産後56日までの期間に一定額が受け取れます。
これら受け取った金額は、所得税法上は非課税所得のため非課税です。給与の代わりに受け取る感覚があるかもしれませんが所得税は課されず、また、次の夫側の所得税に関連しますが、給与収入にも該当しません。
出典
国税庁 確定申告書等作成コーナー出産育児一時金の支給を受けている配偶者
国税庁 No.1400 給与所得
*参考までに*
・育児休業手当金
育児休業開始日から原則子供が1歳になるまで一定額が受け取れます。
こちらも所得税は非課税で給与収入に該当しません
次に父になる夫です。
所得税では代表的なもので2点あります。
①配偶者控除等
夫の配偶者(=妻)が出産後に仕事に復帰せずに給与所得が少額の場合に、夫側で年末調整又は確定申告により所得税の納付金額の軽減または還付を受けられることがあります。まず所得金額で条件があり、夫の合計所得金額が1000万円超、または、配偶者の合計取得金額が133万円超だと配偶者控除等は受けられません。
次に夫の合計所得金額が1000万円以下である場合において、配偶者の合計所得金額が58万円以下であるときは配偶者控除を、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(令和7年分以降かつ2026年3月時点)であるときは、配偶者特別控除を受けることができます。
控除額はさらに夫の合計所得金額と配偶者の合計所得金額の組み合わせにより、38万円から1万円となります。
では配偶者の受け取った出産一時金・出産手当金等は配偶者の合計所得金額に含まれるかというと、これらは含まれません。
そのため配偶者が、産休及び育休期間中に給与所得が少額もしくはなかった場合に、夫の所得税は配偶者控除等により所得控除額が増え所得税を抑えることができます。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
国税庁 No.1191 配偶者特別控除のQ5
②医療費控除
妊娠・出産にあたり、産婦人科を受診しますが、健診料は自由診療のため、全額自己負担になります。そのため国・地方自治体では負担軽減のため金額の助成を行っていますが、一般的に1回の検診で3000円から1万円ほどは自己負担と言われています。また出産費用も高額となり一時金50万円が支給されていても足りないケースはあるといわれています。
医療費が高額となった場合に、所得税の負担を軽減する仕組みがあります。それが医療費控除であり、以下が医療費控除の算出の簡単なイメージ図です。
(保険金や出産一時金
などの助成金)
(最高200万円)
もしくは
所得の合計 × 5%
いずれか少ない金額
もし、1/1-12/31の間に支払った医療費の額が、夫婦合計で高額になる場合は、医療費控除を適用できます。
具体的には、支払った医療費の総額から受け取った助成金・保険金を差し引いても10万円を超えそうなときは医療費控除を検討してみてください。
※参照
国税庁 医療費控除を受ける方へ|令和7年分 確定申告特集
以上2つの所得控除について簡単に説明しましたが、留意点もいくつか紹介します。
❶配偶者控除等の計算の基礎は、所得金額であるため、会社員の方でしたら、給与収入の額ではなく給与所得の金額です。冒頭のイメージ図のように、給与収入から給与所得控除という一定の金額を差し引いた後の金額が、給与所得の金額になります。
❷配偶者控除等は、税額控除ではなく所得控除です。こちらも冒頭のイメージ図のように、算出した控除額は全額が税金を減少するわけではなく、あくまで税金を計算する基礎の所得金額が減少します。
❸配偶者控除等は、会社員であれば年末調整で対応することができます。万が一、年末調整に間に合わない場合は、自身で確定申告をすることで適用を受けることができます。一方で医療費控除は、年末調整ではなく確定申告で適用を受けることができます。
最後に雑学的な出産に関する税金の紹介です。
消費税についてです。
消費税法上では、妊娠・出産は助産という考え方で、妊娠・出産・新生児にかかる検診及び入院は、基本的に非課税です。健康保険法に基づく非課税項目とは別項目での非課税規定のため妊娠中及び出産後の入院にかかる差額ベッド料も消費税は非課税です。
以上、出産にまつわる税金についてでした。なお、妊娠や出産、子育てに関連する社会保険、補助金などの制度・名称・金額などは、加入している社会保険や国・地方自治体の政策、適用年度により異なり、かなり変動的であり、社会政策上、所得税も変動的です。本ブログはブログ掲載時点:2026年3月時点での記載となる旨ご留意ください。
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